この記事では、1歳児の「思い通りにならないと泣く」という行動をモンテッソーリ教育の視点から捉え、子どもの心に寄り添う対応方法を解説します。
1歳を過ぎた頃から、「思い通りにならないとすぐ泣く」「物を投げる」「怒って手がつけられない」といった行動に悩む保護者の方は多いもの。
実はこれ、成長の証でもあります。
1歳児の子育て真っ只中のパパママの気持ちが軽くなるような情報をお届けします。
1歳児が「思い通りにならないと泣く」ことについてモンテッソーリ教育の2つの捉え方
モンテッソーリ教育では、上記のような2つの捉え方をしています。
1歳児が「思い通りにならないと泣く」という行動の理由が、モンテッソーリ教育の捉え方によって見えてきます。
捉え方①:言葉ではない方法で意思表示している
1歳児はまだ言葉で気持ちを伝えるのが難しく、泣く・怒る・叩くなどの行動で自己主張します。
モンテッソーリ教育では、こうした行動を「問題」ではなく「意思表示」と捉え、感情を認めてあげることが大切とされます。
「この子は何を伝えようとしているのだろう?」と観察し、言葉の代わりに表現していることを理解することで、親子の関係性もより良いものになります。
捉え方②:敏感期によるもの
モンテッソーリ教育では、1歳ごろの子どもは「敏感期」にあり、自分でやってみたい・秩序を保ちたいという気持ちが強く表れます。
大人から見ると些細なことでも、子どもにとっては大きな意味を持つのです。
思い通りにいかないと泣いてしまうのは、この敏感期特有の感受性が関係しています。
敏感期の理解は、子どもの成長をサポートする第一歩です。
モンテッソーリ教育の基本理念
モンテッソーリ教育の基本理念は、「子どもを一人の人格として尊重すること」と「自立を助ける環境を整えること」にあります。
子どもは大人に教えられて育つ存在ではなく、自ら育つ力をもった能動的な存在です。
そのため、大人は指示や命令ではなく、子どもが自由に選択し、自発的に学べるような環境を用意し、そっと見守る役割に徹します。
また、子どもにはそれぞれ異なる成長のペースがあるという前提に立ち、年齢に応じた発達段階や「敏感期」と呼ばれる集中しやすい時期に適した環境や関わり方を大切にします。
このように、モンテッソーリ教育は子どもが自分らしく生きる力を育むための教育法であり、単なる知育ではなく、人間形成の根幹を支える哲学でもあるのです。
モンテッソーリ教育の2つの基本的な考え方
モンテッソーリ教育には、子どもの健やかな成長を支えるための基本的な考え方として、上記の2つがあります。
ここでは、それら2つの考え方について見ていきます。
考え方①:敏感期に大切な親の関わり方は「環境を整えること」と「見守ること」
モンテッソーリ教育では、子どもが自由に選び、自ら活動できるような「環境を整えること」が重要とされています。
子どもの興味や発達段階に合ったおもちゃや道具を用意し、自分のペースで取り組める空間を整えることが、意欲や集中力を育みます。
そして、親は手や口を出しすぎずに「見守る」姿勢を大切にします。
過干渉ではなく、信頼のもとでの見守りが、子どもの自立心を育てます。
考え方②:子どもは知らないことが多いだけの尊厳を持った人である
モンテッソーリ教育の基本理念のひとつに「子どもを一人の人格として尊重する」という考えがあります。
大人より知識や経験は少なくても、1歳児には感情や意思がしっかりとあり、尊厳を持った存在です。
泣く、怒る、こだわるといった行動も、未熟だからこそ起きる自然な表現です。
頭ごなしに叱るのではなく、対等な視点で丁寧に関わることが、子どもの心を育てる基盤になります。
【モンテッソーリ教育流】1歳児のグズグズ期への3つの対応
モンテッソーリ教育では、上記の3つの対応がグズグズ期には重要だとしています。
ここでは、その3つの対応について詳しく解説していきます。
対応①:気持ちを受け止める
子どもが泣いたとき、まず大切なのはその感情を受け止めることです。
「泣かないの!」と否定せず、「悲しかったんだね」「悔しかったんだね」と声をかけることで、子どもは自分の気持ちを理解されていると感じます。
感情をそのまま認めることで、子どもは安心し、泣くことで自分の気持ちを整理していけます。
モンテッソーリ教育では、感情の否定よりも共感を重視します。
対応②:「してはいけないこと」に線引きをする
泣いたり怒ったりする中で、物を投げる・叩くといった行動に発展することがあります。
モンテッソーリ教育では、こうした行動を完全に否定せず、「してはいけないこと」としてしっかり線引きをすることが大切とされています。
「人を叩いたら痛いよ」「物は投げてはいけない」と具体的に伝え、なぜそれがいけないのかを説明することが、社会的なルールを学ぶ第一歩になります。
対応③:子どもが落ち着いてから話をする
感情が爆発している最中に、理屈や注意をしても子どもには伝わりません。
まずは安心できる環境で落ち着かせ、気持ちが穏やかになったタイミングで話すのが効果的です。
モンテッソーリ教育では「タイミングを見て伝える」ことも大切な関わり方とされています。
子どもの心に寄り添いながら、何が良くて何がいけなかったのかを丁寧に伝えることで、理解と学びを深めていきます。
【モンテッソーリ教育流】1歳児が「泣く、叩く、物を投げる」についての2つの対策
モンテッソーリ教育で推奨されている上記の2つの対策は、子どもを一人の「人」として尊重する姿勢から生まれたものだと分かります。
これらの対策によって、問題行動を減らす手助けができます。
対策①:子どもをよく観察し環境を整える
モンテッソーリ教育では「観察」が重要なキーワードです。
子どもが癇癪を起こす背景には、環境が合っていない可能性があります。
おもちゃが取りづらい、物が多すぎて混乱するなど、小さなストレスが積み重なると、泣いたり怒ったりという行動につながります。
子どもの様子をよく観察し、「今の発達段階に合った環境か?」を見直すことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
対策②:子どものこだわりを大切にする
1歳ごろは、物事に強いこだわりを見せる時期です。
「この順番じゃなきゃ嫌!」「この服じゃなきゃイヤ!」など、大人には理解しがたい主張でも、子どもにとってはとても大切な秩序や安心感です。
モンテッソーリ教育では、こうしたこだわりを頭ごなしに否定せず、「今は敏感期なんだ」と受け止めて関わることが推奨されます。
こだわりを尊重することが、心の安定につながります。
1歳児の思い通りにならないと泣く・叩く・怒るといった場面での3つのNG対応
パパママも日常的な「泣く・叩く・怒る」という行動に対して、ついイラっとしてしまうこともあるでしょう。
しかし、そのような時でもやってはいけないNG対応があります。
なぜやってはいけないのか理由と一緒に見ていきます。
NG対応①:感情的に怒る
子どもが泣いたり叩いたりしたとき、大人が感情的に怒鳴ってしまうと、子どもは「なぜ怒られたか」が理解できないまま、「怖かった」という感情だけが残ってしまいます。
モンテッソーリ教育では、大人が冷静であることが大前提とされ、感情的な反応は避けるべきとされています。
落ち着いて対応することで、子どもは安心し、行動の意味を少しずつ理解できるようになります。
NG対応②:「ダメ」と阻止する
「ダメ!」だけで止めようとすると、子どもは何がいけなかったのかを理解できません。
モンテッソーリ教育では、「なぜダメなのか」を具体的に伝えることが大切とされます。
さらに、「こうすればよかったね」と代わりの行動を示すことで、子どもは次にどうすれば良いかを学べます。
「ダメ」と言うだけで終わらせず、学びのチャンスに変える声かけが求められます。
NG対応③:無視・放置する
「どうせ泣いてもダメ」と学習してしまうのが、無視や放置のリスクです。
感情を表現することは悪いことではなく、モンテッソーリ教育では「気持ちの表現」を受け止めることが基本姿勢です。
泣きやんでから寄り添えばよいという考えもありますが、泣いている時に「見てくれている」「わかろうとしてくれている」と感じることが、子どもの安心感と信頼を育てます。
1歳になってよく泣くようになる成長に伴う3つの要因
1歳を過ぎてよく泣くようになったと感じているパパママも多いでしょう。
それは子どもの成長の証でもあります。
成長の証とはどういうことか、上記の3つの要因をそれぞれ見ていきます。
要因①:「やりたい」のに「できない」イライラがある
1歳児は「自分でやりたい」という気持ちが強くなってくる時期です。
しかし、手先や体の使い方はまだ未熟で、思うようにできないことが多く、イライラや悔しさにつながります。
この「できなさ」によるストレスが、泣いたり怒ったりという行動として表れます。
モンテッソーリ教育では、挑戦できるちょうどよいレベルの活動を用意してあげることが、子どもの自信につながるとされています。
要因②:頭の処理が追い付かないことでの混乱がある
1歳児の脳は急速に発達しており、見るもの・聞くものすべてが刺激となります。
情報量が多すぎて、頭の中で整理しきれず混乱し、泣いてしまうことがあります。
モンテッソーリ教育では、過度な刺激を避けてシンプルな環境を整え、子どもが落ち着いて過ごせるようにすることが大切とされています。
子どもがパニックを起こさないよう、刺激の質と量に配慮することが求められます。
要因③:グズグズ期・イヤイヤ期からくる泣き
1歳を過ぎると、「自分でやりたい」「思い通りにしたい」という気持ちが芽生え、「グズグズ期」「イヤイヤ期」が始まります。
まだ言葉でうまく伝えられない中で、感情のコントロールも難しく、泣いたり癇癪を起こしたりすることが増えていきます。
モンテッソーリ教育では、こうした行動も発達の一環と考え、無理に抑え込まず、子どもの内面に寄り添うことを大切にしています。
思い通りにならないと泣く「グズグズ期」にはおもちゃを活用しよう!
1歳ごろの子どもは、自分の思い通りにならないことが増え、「グズグズ期」と呼ばれる時期に入ります。
この時期には、まだ言葉でうまく気持ちを伝えられず、泣く・怒るといった行動で自己表現をすることがよくあります。
そんなときこそ、おもちゃを上手に活用することが有効です。
モンテッソーリ教育では、子どもの発達段階に合ったシンプルで集中できるおもちゃが推奨されています。
手先を使う玩具や、自分で「できた!」という達成感を得られる道具は、子どもの自立心や集中力を育み、気持ちの安定にもつながります。
おもちゃはただの気晴らしではなく、子どもにとっては感情を整え、自己肯定感を高める大切な道具。
うまく選び、活用することで、グズグズ期の乗り越えにも役立ちます。
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1歳児が「思い通りにならないと泣く」ことについてのまとめ
1歳児が泣くのは、「思い通りにならない」経験が増えるからこそ。
これは成長の証でもあり、親子の関係を深めるチャンスでもあります。
モンテッソーリ教育では、感情や行動の背景を理解し、子どもを尊重することが何よりも大切とされています。
泣くことを否定せず、「今どんな気持ちなんだろう?」と想像しながら関わることで、子どもの心も親の心も穏やかになっていきます。
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